赤松真紀子さん|eterble × 廣田硝子 特別展示コーディネート【テーブルコーディネートEXPOインタビュー】
テーブルコーディネートに携わるヒト・モノ・コトにフォーカスを当てた、業界初のイベントとして話題を呼んだ『テーブルコーディネートEXPO』
(イベント全体のレポートはこちらをご覧ください)
なかでも国内有数のテーブルウェアブランドとプロのテーブルコーディネーターによる展示は、多くの人の関心を集めました。
eterbleもこのイベント及び各展示に商品協力をいたしました。ブランドの垣根を超えたテーブルコーディネート展示について、企画・制作を手掛けられたプロのテーブルコーディネーターの皆さんにお話を伺っていきます。
今回は、フードスタイリスト&食空間プロデューサーの赤松真紀子さんに「廣田硝子」と「eterble」のテーブルコーディネート展示制作の舞台裏についてお聞きしました。
ー はじめに、赤松さんは日頃どんな活動をされていますか。
赤松さん 十数年に渡って、食空間プロジェクトのスクール講師を務めております。現在は大阪校で資格発行講座等を担当し、生徒様のスキルアップをサポートしています。また講師業の傍ら、これまでテレビや雑誌、カタログ等の仕事もさせていただきました。加えて、企業様への食空間プロデュースにも携わっております。イベントのコーディネートや空間演出、レストランやブッフェレストランの食器提案、メニュー撮影等、食空間に関わるあらゆる分野でプロデュース業務を行っております。
現在は関西に転居し、コラム執筆や商品開発等、さまざまな分野で活動しています。店頭の食品売り場やマルシェのディスプレイ等も行っています。兵庫県が掲げる「オーガニックビレッジ」等の地方創世に関わる活動や、最近では「大阪関西万博」の出展サポートにも関わりました。和の伝統工芸を広める活動や、抹茶体験ができるイベントプロデュースも行っています。

ー テーブルコーディネートEXPOでは、「廣田硝子」と「eterble」のコラボレーション展示のテーブルコーディネートを作成いただきました。コンセプト、工夫した点について教えてください。
赤松さん 今回のテーブルコーディネートは、「ノスタルジックな時を遡る旅」と題し、まるで時の旅をするかのような “ノスタルジック” をテーマに、昭和レトロな情景を現代のテーブルに再現しました。
老舗ガラスメーカーである廣田硝子様のYグラスは、柳宗理さんデザインの復刻版。ドット模様が愛らしく、懐かしさと遊び心が同居したアイテムです。飲み物を注ぐだけでなく、前菜の盛り付けやデザートカップとしても活用し、その多様な使い方をご提案しています。

さらに、今では貴重な「地球瓶」をセンターピースに使用し、美しく輝く硝子に時間を閉じ込めたように砂時計や矢のように突き刺した硝子箸、流れる砂が “時の経過” を象徴し、空間全体にやさしいリズムをもたらしてくれました。

テーブルクロスはpartycreation様のベロナ(ベージュ)を使い、eterble様の新作テーブルランナー、ランチョンマットを合わせました。幾何学模様の「カルム」は英国アンティーク洋食器から着想を得たということですが、よく見ると七宝模様にも見えてくるから不思議です。今回のガラスの皿、文鎮などの模様に伝統模様である七宝が使われており、「七つの宝」という意味にかけて、ご縁をつなぐことや子孫繁栄の意味が込められている縁起のいい和柄で、洋のランチョンマットとも柄がリンクすることに嬉しく思いました。
シンプルであたたかみのあるデザインで、レトロな世界観に自然と調和。時代を超えても続いていく「美しさ」や「技術」をテーブルという小さな舞台に表現し、懐かしさの中にある新しい発見を楽しんでいただけるようにコーディネートいたしました。

ー 素敵なコーディネート、そして解説をありがとうございます。準備から当日まで、どのようなご苦労がありましたでしょうか?
赤松さん 今回のスタイリングは、関西在住となった今、東京の現場に足を運ぶことなく、すべてオンライン上でのセレクトから始まりました。サイズ感や色味、素材感も、ウェブ上で確認しながらの準備。便利な時代だからこそ、事前にイメージをしっかり膨らませ、パーソナルも2パターンのセッティングで変化を出し、より多くの使い方提案ができるよう工夫しました。
eterble様から選んだクロスやランチョンマット、そしてタッセル付きのナプキンリングには、どこか懐かしさを感じる模様もあり、今回のコーディネートイメージにぴったりでした。画面越しに見た印象が、そのまま現場に馴染んでくれたことに感動いたしました。
しかし、現場には“想定外”がつきもの。当日、私の設営テーブルの後方には、想像もしていなかった非常用ハシゴのボックスが固定されていました。せっかくの窓際のカーテンが美しい装飾も想定外のハシゴ・・・。センターピースとして予定していた配置を現場で変更することにいたしました。
また、硝子の「地球瓶」は、照明が当たるとキラキラと輝く美しさが特徴ですが、駄菓子瓶のイメージを表すフタをするとその魅力が半減してしまうため、照明の位置を考慮して輝きが最大限に映えるよう工夫しました。オンラインでの準備と現場での対応力が試されましたが、結果として満足のいくコーディネートに仕上げることができました。
ー 作成されたテーブルコーディネートについて、ゲストからどんな反応やご感想がありましたでしょうか。
赤松さん ストーリー性や、キラキラした美しい世界感に好評をいただきました。時を感じる砂時計や、駄菓子の地球瓶、七宝デザインの文鎮などのアイテムの楽しさと特にキャビアプレートという贅沢なアイテムには、心惹かれる方が多く硝子の魅力が伝わったと嬉しく思いました。それを縁の下の力持ちのように、上質なクロスが格上げしてくれました。
また、丸いランチョンマットにカバーを掛けるという発想の新商品(カルム)はかわいい柄と使い勝手の良さで人気でした。
ステキな会場と、テーブルクロスの上質感、全体の雰囲気などがお客様の印象に残っていれば嬉しいです。

ー 最後に、eterbleの中で気に入ったアイテムを教えてください。またeterbleに対してお感じになられたことがあれば教えてください。
赤松さん かわいらしい図柄の「カルム」を使わせていただきましたが、和でも洋でも似合うクロスアイテムは使い勝手が良いなと改めて感じました。主張しすぎずに、上質感が演出できるので色違いでも集めたくなりますね。
そして、やはりサステナブルなテーブルウェアという個性が素晴らしいと思いました。食の消費は、つまるところ「命をいただく」ということですが、不要になったクロスを再生して出来上がったテーブルウェアは、テーブル上でも命をつなぐ意識にも通じると思います。
サステナブルなテーブルウェアを選ぶということも、未来への思いやりであり、食を囲む時間にそっと寄り添う優しさだと思います。またeterble様のアイテムを使って、命を大切にする食空間を演出・ご提案していきたいと思います。

<テーブルコーディネーター>

赤松 真紀子|Makiko Akamatsu
フードスタイリスト&食空間プロデューサー
雑誌、テレビ、WEBなどのフードスタイリングやテーブルコーディネートを担当。また食空間プロジェクト(株)認定講師・コーディネーターとして10数年講師を務める。自身が主宰する「M’s table」では器、インテリア、食空間に関わるイメージ構築を手がけ、和の伝統工芸を広める為のイベントを開催し、関連するパーティー、ディスプレイ、商品開発に携わる。現在は兵庫県に転居し、大阪万博の出展パビリオンにてブース装飾などにも関わり、関西圏も拠点に活動。
Instagram:https://www.instagram.com/makko8810