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“1枚の力”。食空間プランナー重吉京子さんに聞く、貴重な食事の時間をひきたてるテーブルリネンが持つ力。

だれにでもできる、豊かなテーブル空間づくり、考え方、テクニックを、様々な視点を持った空間づくりのプロたちにお伺いしました。今回は、料理教室講師を10年以上されている、食空間プランナー重吉京子さんに、「食事」という時間の大切さ、日常でこそ感じてほしいテーブルリネンが持つ力についてお話しいただきました。

ー料理教室の受講生の反応をきっかけにテーブルコーディネートを学ぶ身にー

重吉さん 料理教室にて講師を10年以上しております。他にもフードスタイリング、テーブルコーディネートなど、イベントなどで料理を起点とした演出づくりに携わっています。美味しいものをよりおいしくするための仕掛け作りが得意です。

いくらおいしいお料理でもただテーブルの上に置いてもおいしさを感じないものです。料理教室の際に、味はまちがいないのに、できた料理を受講生の前に差し出した時に「なかなか写真を撮ってくれないな、どこか反応が悪いな」と思ったことがありました。その時にこれはきっと「コーディネートが必要だ!」と思い、テーブルコーディネートを学び出したんです。それまではテーブルコーディネートについては全くの初心者でした。

ー学んで気づく ”見栄え”の大切さー

重吉さん テーブルコーディネートを学び初めて「やっぱりそうなんだ!」となることがありました。それまでは「料理は味がいちばん大事」と思っていがちでしたが、聞くと人がおいしさを感じるのは「視覚が80%、味覚が3%以内」と、おいしさは視覚からくる割合の方がよっぽど大きいんです。

お皿だけではなく、テーブルリネンによっても全く印象が変わることに気づきました。一般的な茶色や白の器に盛るだけだとなかなかお料理が映えずらい。そこに1枚テーブルリネンをひくことで包み込むようなテーブル空間になり、お料理がよりおいしく見えるんです。

おもしろかったのは、テーブルコーディネートを意識しはじめてからは、自分の教室でお料理を出した時に、受講生がとたんに写真を撮りはじめたことでした。やはりみなさん自分で作ったお料理をインスタとかに投稿したいですよね。そうすると、なにもないところにお料理がポンと置いてあるよりも、ランチョンなどを敷いてきれいにしてある方がもちろん写真映えもする。そこを意識すると、おいしいものがよりおいしくなります。

ーまずはランチョンマットを敷いてみてー

重吉さん ランチョンマットはいちばんおすすめしたいです。

料理教室の受講生の方でもそうですが、日頃からランチョンマットやテーブルクロスを使う方は少ないです。なのでまずはランチョンマットからはじめてみてほしいです。慣れてきたらランナーを使ってみるのが良いと思います。テーブルの上の布分量が増えるとより豊かさを感じるし、食事の時間が一気に格上げされると思います。

敷く位置の固定観念にとらわれず、自由な使い方を楽しんでいただきたいですね。メインのテーブルだけではなく、サイドテーブルやローテーブル、棚の上でも良いですし、お手持ちの籠や花瓶などにもかけたり絡ませたりすることで色や質感が加わり、イベントや季節のコーディネートが楽しめます。

馴染みやすい色味が揃ったリバーシブルのランチョンマット “メモリア”

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memoria Luncheon mat/メモリア ランチョンマット ¥5,500 (tax incl.)

重吉さん 中には「洗うの面倒だな」「子供がよごしちゃうな」と感じる方もいると思いますが、最初はランチョンマットなど面積の小さい、比較的手入れが簡単なものからはじめて習慣をつけてみて下さい。そして特別なイベントや季節行事など、状況によってランナーを追加してみる。そうするといつの間にか朝、昼、おやつタイム、夕方、来客時など様々な時間、シチュエーションで無意識にテーブルリネンのある日常を楽しまれていると思います。

ー重吉さんが考える、”1枚の力”ー

重吉さん 近年だと、テーブル空間がすべてを行う「場所」になっているケースがあると思います。テーブル上で勉強、仕事をしたり、子供がゲームをしたり、そしてそこで食事もする。作業をしている横にごはんを出されて食べるとなると、なにか流れ作業的になってしまいますよね。仕事をしながらやスマホを見ながらなど、片手間で食事をすると味や作った人の気持ちもわからず、なにを食べたかもわからなくなってしまいます。

そんな時こそさらっと1枚ランチョンマットやテーブルクロスを敷けば、そこに「食事の時間」としての切り分けができます。食べることは、人が産まれてから生涯毎日続く時間です。健康寿命の間でしか自分では食べられない、残された食事の時間は限られていると考えると、食事の時間は本当に貴重です。そんな貴重な時間を”ながら”で過ごさないためにも、テーブルリネンの存在は重要だと思います。1枚あるだけで変化をもたらすので、テーブルリネンが持つこの”1枚の力”は本当にすばらしいです。

ー公共施設でも使ってもらいたい、テーブル文化を日常にもー

重吉さん 最近だと核家族化も進み、1人で食事をする子供たち、そして高齢者の方もいます。毎日の食事の時間が少しでも豊かで楽しい気持ちになるように、日常でこそテーブルリネンを取り入れてもらいたいですね。特別な日やパーティーの場だけでなく、子ども食堂や老人ホームといった公共施設でもeterbleのテーブルリネンが使用されていくと良いなと思いました。

なにもないところでの食事だと、メリハリがなくなりただ過ぎていく時間になってしまいます。そこにテーブルリネン1枚加えただけで、違いを生むことができます。日本ではテーブルリネンを敷く文化がまだ薄いですが、取り入れることでそれが「食事の大切さ」を教えることにもなると思っています。わたしは日頃から、貴重な食事時間を司る家庭料理をもっと継承していきたいという想いがあるのですが、同時に器やリネン使いなど、テーブル文化も伝えていけたらという期待を込めています。次の世代に向けて、豊かな食卓の継承にもつながると思います。

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プロフィール:

重吉京子
食空間プロジェクト (株) FSPJ認定講師・コーディネーター。FSPJテーブルコーディネートスクール on-line校講師。料理教室講座講師歴10年以上、フードスタイリング・料理関係イベント講師担当、他お料理を起点としたテーブルコーディネートや、美味しい料理をよりおいしく演出するための仕掛けつくりを得意とする。

Instagram:@kyoko_kko