「日常」こそ楽しく!食空間プロデューサー金子友子さんに聞く、日々の気持ちに寄り添ったテーブルコーディネートの楽しみ方。
だれにでもできる、豊かなテーブル空間づくり、考え方、テクニックを、様々な視点を持った空間づくりのプロたちにお伺いしました。今回は「七十二候食卓コーディネート」をテーマに活動されている、食空間プロデューサーの金子友子さんとお話ししています。ぜひ、テーブル空間づくりのヒントにしてみてください。
ー金子さんは日頃、どのような活動をされているのでしょう?ー
金子さん オンラインでのテーブルコーディネート講座や、企業さまのディスプレイを担当させていただいたりしています。最近は、和食器と洋のテーブルクロスとを合わせたテーブルコーディネートに興味が湧いていて、「和」と「洋」のクロスオーバーが効いたコーディネートをすることが多いです。
ー「ハレ」の日だけではなく、「日常」こそ楽しくー
金子さん 活動のひとつのテーマである「七十二候食卓コーディネート」というのは、コロナ禍をきっかけに考えたものなんです。これまでは友人を自宅に招いて「おもてなし」のひとつとしてテーブルコーディネートをしていました。しかしコロナ禍では友人を招くことができなくなってしまい、コーディネートをする機会もなくしてしまいました。
そんな中「日々、日常に、なにかないかな?」と探したときに頭に浮かんだのがこの「七十二候」という季節の捉え方でした。日本では、お祭りや儀式などを行う日を「ハレ」の日、普段どおりの日常を「ケ」の日、と呼ぶならわしがあるのですが、1年365日でみたときに、この「ケ」の日、いわゆる「日常」の方が断然多いんですよね。
「ハレ」の日だけを特別扱いするのではなく、もっと「日常」も楽しめる形にできないかなと思い至ったのがきっかけです。それからは「日常」を豊かにするようなテーブルコーディネートを提案したりしています。
ー今回金子さんには、2023年12月に日本橋三越本店で開催したeterbleの特別展示企画、「お正月を迎えるテーブルコーディネート」で展示のひとつを担当していただきました。今回の展示でこだわったポイントはどんなところでしょうか??ー
金子さん 今回は「正統派」というテーマですが、従来のものとは違った新しい形を楽しんでいただけたらと思い、取り組みました。「お正月」は1年間の健康と幸せを願う特別な行事の日です。使用するeterbleのテーブルクロスにはそんな「ハレ」の日の器と引き立て合う、美しいスノーカラーをチョイスしました。3段タックがついた裾使いが、より華やかさを演出してくれます。
金子さん コーディネートでは「お正月の食卓」に欠かせないものとして、先ずお屠蘇、お雑煮、お節料理、それをいただく「祝箸」を考えました。更に、器におめでたい吉祥柄やお正月らしい富士山の形のお皿、白木、美しい江戸切子のグラスなど、様々な種類のものを掛け合わせたのがポイントです。
最後に、名前を入れるための箸袋・歳神様の降りる目印となるお屠蘇飾り・梅・松などとお正月らしさを添えました。
全体構成として、中心となった美しいマットな朱の楕円5段重、白木を加えた器使いなどから、新しくて温かみのあるテーブルと感じていただけましたら嬉しく思います。
ー実際にeterbleのクロスでコーディネートをしてみて、いかがでしたか?ー
金子さん 今回の特別展示では Elisabeth(エリザベット)シリーズを選びコーディネートをいたしました。
テーブルクロスはスノーカラーを、テーブルランナーはリトアニアリネンを使った2トーンカラーのものを使用しました。
まず「エリザベット テーブルクロス(スノーカラー)」ですが、リサイクル生地とは思えない程ピュアな白色で、江戸切子をとても美しく輝やかせてくれました。生地には厚みと上質感があり、その上、洗濯などの手入れも楽なポリエステル素材とありますので、高級感もありながら日常使いもできる優秀アイテムだと思います。3段タックがとても華やかに見えます。
次に「エリザベット リトアニアリネン テーブルランナー」ですが、こちらは、その素材ゆえに、柔らかく馴染みやすい生地です。2トーンカラーと珍しく、テーブルのアクセントに目を引く存在となりました。色もブルーグレーとベージュの2色であまり器を選ばず、色々なものと合わせやすいと思います。
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テーブルランナーは今回、向かい合ったパーソナル(個々の)席に、橋を架けるように繋ぎ渡すブリッジランナーとして使用いたしました。通常、テーブルランナーの幅は30cmというのが一般的ですが、eterbleのテーブルランナーは幅が35cmと少し大きめなので、このような使い方を提案することができました。
ーご自宅に、はじめてのテーブルリネン選び。どんなことを意識したら良いでしょうか?ー
金子さん もしテーブルクロスを2枚を選ぶとするならば、1枚はお好きな色を、もう1枚は薄いグレーをお勧めします。テーブルクロスは食卓に広げるだけで、素敵な食空間を演出してくれる最も大きな存在です。好きな色だとよりワクワク感が高まります。ずっと大切に使いますし、他の色が欲しくなる頃には、テーブルクロスを選ぶ基準と共に、ご自分の変化にも気づかれるのではないかと思います。
もう1枚に薄いグレーをお勧めするのは、この色味は年間を通して楽しめること、和・洋の何にでも合うこと、そしてよりお洒落に演出してくれるという理由からです。
ベーシックカラーであるグレーは、ファッションからインテリア、テーブルまで、この数年トレンドカラーにもなっています。
もしフルクロス(テーブル全体を覆うこと)ではなくもっと手軽に楽しまれたい場合には、ランチョンマットをお勧めします。敷くだけで食卓が整いますので、数種類を用意されて、朝食〜夕食、平日&休日などと使い分けられますと、気分のリセットにも活用できるのではないでしょうか。
eterbleには素敵な優しい色が展開されているので、どなたにも選びやすいと思います。
ー「せっかく買ったクロスが自宅のテーブルサイズよりも小さかった!」
ご自宅で起こりうる、そんなシーンで役立つテクニックなどがあれば教えてくださいー
「アクセント使い」してみるのがお勧めです。
例えば:
1.両サイドを残してセンターにトップクロスとして使用。斜め掛けもOKです。
2.縦1/3〜1/4に折って、幅広のテーブルランナーとして使用。
どちらも、下にもう一枚ベースとなるクロスを敷いても良いですね。
サイズが合わなかったからといって焦ることはなく、このように柔軟にコーディネートを楽しむのもおすすめです。
ー2024年に向けて、金子さんの展望ー
テーブルコーディネートでは「癒しの空間」を作ることができます。季節の移ろいを反映する意味でも、「自然の中の空間で、テーブルを囲むリトリート」や、会場をお借りしてリラックスできる食空間作りをやってみたいと思っています。癒し効果の大きな気付きとなった「七十二候食卓コーディネート」の書籍化も今後の予定です。また、今後も企業様の展示ディスプレイ等も関わらせていただきたいと考えています。
プロフィール:
金子友子
東京・銀座を拠点とした、食空間演出専門の 食空間プロジェクト(株) FSPJ認定コーディネーター、食空間プロデューサー。地方の窯元の器に精通。企業ディスプレイ、テーブルコーディネート、一般向けお茶会等の講師として活躍中。
Instagram|@tomoko_kaneko2016